囲碁について(2)
久々の更新です。
書こう書こうと思ってもすぐ忘れてしまいますね…何か対策を考えたいところです。
さて、今回は、前回でも少し述べたように囲碁とAIの関係についてちょろっと語ります。囲碁のルールは前回で少し解説したのでここでは割愛します。
AI囲碁の実力の歴史
少し前にニュースでも頻繁に話題として取り上げられていた通り、AIの棋力が近年急激に力を付けてきました。まず直近の話からざっくり話すとします。
2015年10月頃、プロ棋士のファン・フイ二段がAlphaGoというGoogleのAIに5番勝負で0-5の負けを喫したのがニュースになりました。おそらくこの勝負によりAlphaGoの名が一気に有名になったと思います。
その後、2016年の3月に、AlphaGoは韓国のプロ棋士イ・セドル九段に挑戦し、5番勝負の末、AlphaGoが4勝1敗で勝利しました。これはすごく話題になったので、読者の方も何かしらのニュースで見かけた思います。当時セドル九段が「イ・セドルは敗れたが、人間が敗けたわけではない」と述べていたのが印象的です。
そして2017年初め、とあるネット碁サイトに「Master」というアカウントが現れました。その実力は圧倒的で次から次へと有名な棋士に勝利し、一時期囲碁界はMasterの話題で持ち切りでした。このユーザーの一手あたりの考慮時間が短いこと、そしてその圧倒的な実力からAIではないかと噂されていました。
Masterが消えてしまうまでの戦績は60勝0敗。この対局相手は、囲碁界で有名な猛者ばかりです。結局Masterのの正体はAlphaGoの最新版だったことをGoogle側は認めましたね。AlphaGoについては、プロとAIの対局の棋譜、AI同士の棋譜など、調べればネット上にいくらでも載っていますが、どの棋譜も自分の理解を超えたものばかりでした。
そして今年5月に、世界最強と言われている柯潔(カ・ケツ)九段がAlphaGoと3番勝負で対局し、結局AlphaGoが3戦全勝しました。
AlphaGo以外にも、Deep Zen、God Moves、刑天、絶芸などがありますが、AlphaGoは別格だと思います。AI全般というよりはAlphaGo自体の成長速度が凄まじいですね。さすがGoogle…
囲碁AIはいつから存在するかというと意外と昔からで、1960年代には簡単な囲碁プログラムが開発されていたそうです。
私が碁を始めたのは2003年くらいでしたが、既にそれなりに打てる囲碁ソフトは存在しました。しかし、当時のソフトの強さはせいぜいアマチュア3級か2級ぐらいがいいところで、存在自体あまりパッとしなかったと思います。当時の囲碁ソフトよりも強い人はいくらでもいましたし、リアルの人と対局してる方が勉強になることが多かったですから。
それが数年して2005年か2006年くらいにはアマチュア4段くらいの実力をもつ囲碁ソフトが家電量販店で売られていたのを見かけた記憶があります。値段は7000円くらいで、当時はまだ大学生ですらなかったので、買えずにとソフトを眺めていたのを覚えています。
2010年前後はまだまだAI興隆期という印象で中段クラスのプロ棋士との置き碁(プロがAI側にハンデを与える)対局が多く、まだまだ実力に差があったのかな~という印象でした。
それがここ数年で急激に進歩し、Googleが囲碁AIの開発を進める話がニュースで出てからあっという間にトッププロとの対局が実現し、そしてその実力を証明しました。90年代や00年代の囲碁の参考書にはAIに関する小話なんかもたまに載っていますが、「AIがトッププロに勝利するのはまだ数十年先の話でしょう」と書かれていたりしています。
今後の展望
棋士も正確な予測ができないくらい急速すぎる成長を遂げたAIですが、今後どうなるのでしょうか。
とにもかくにも、AI自体が今後も急速に実力を伸ばして、「AIがトップ棋士に挑戦」という構図が徐々に「トップ棋士がAIに挑戦」し、今となっては完全に逆になってしましましたね。
個人的にはこれからはAIにどんどん対局を行わせ、経験値を稼ぐことによってより高度な「最適解」を見つけさせ、プロ棋士たちが「なぜその手が善い手なのか」を解読することによって真の最善手を模索する時代が来ると思います(というかもう既にそうなり始めている)。
AI流の考え方からプロ棋士も学習し新たな新戦術が編み出され、それがトップ棋士たちの間で次第に主流になるような気がします。もちろんAIを完全には信用せず、あくまでも人間が人間の脳のみで考えた手で戦っていくという方ももちろんいると思うので、そういった派閥に分かれて競い合っていく構図というのも面白そうですね。
疲れてきたので今回はこのへんにしておきます。